From 57f77edfe3f42f4a10c3ebd44c067092ab1cf80e Mon Sep 17 00:00:00 2001 From: Yoichi Tamura Date: Fri, 30 Jun 2023 02:04:41 +0900 Subject: [PATCH] Updated --- content/home/about.ja.md | 10 ++--- content/home/team.ja.md | 2 +- content/page/receiver/index.ja.md | 2 +- content/page/science/index.ja.md | 70 +++++++++++++++---------------- 4 files changed, 42 insertions(+), 42 deletions(-) diff --git a/content/home/about.ja.md b/content/home/about.ja.md index 6dc8511..6ef944e 100644 --- a/content/home/about.ja.md +++ b/content/home/about.ja.md @@ -10,10 +10,10 @@ design: --- -近年、遠赤外線の酸素や炭素が放つ輝線スペクトル([OIII]と[CII])の観測による宇宙再電離前期(赤方偏移*z* > 8)の開拓が目覚ましい成果をあげています。*James Webb*宇宙望遠鏡や*Euclid*衛星、*Roman*宇宙望遠鏡など近赤外線宇宙望遠鏡の時代がいよいよ到来し、宇宙再電離前期の銀河候補天体が南天・北天問わず数多く発見される期待が高まる今、こうした銀河候補天体に対する遠赤外線輝線のサブミリ波分光観測はその重要性を増しています。また、こうした科学的要求に応える受信技術など、[アルマ望遠鏡](http://www.almaobservatory.org/)の次世代アップグレード計画「ALMA2」を支える要素技術が着々と実現してきています。 +近年,遠赤外線の酸素や炭素が放つ輝線スペクトル([OIII]と[CII])の観測による宇宙再電離前期(赤方偏移*z* > 8)の開拓が目覚ましい成果をあげています.*James Webb*宇宙望遠鏡や*Euclid*衛星,*Roman*宇宙望遠鏡など近赤外線宇宙望遠鏡の時代がいよいよ到来し,宇宙再電離前期の銀河候補天体が南天・北天問わず数多く発見される期待が高まる今,こうした銀河候補天体に対する遠赤外線輝線のサブミリ波分光観測はその重要性を増しています.また,こうした科学的要求に応える受信技術など,[アルマ望遠鏡](http://www.almaobservatory.org/)のアップグレード計画「ALMA2」を支える要素技術が着々と実現してきています. -私たちのFINER計画では、[大型ミリ波望遠鏡LMT](http://lmtgtm.org/)と組み合わせることで北半球でアルマ望遠鏡に比肩する分光探査性能を実現する、120-350 GHz帯ヘテロダイン受信機FINERの開発を推進しています。ALMA2の鍵技術を活用するLMT-FINERは、ALMAに比して40%の集光面積、アルマと同等の標高(4600 m)がもたらす大気透過率、アルマよりも5倍広い分光帯域をもたらします。これにより、アルマと同等の分光探査効率を、アルマではアクセスが困難な北天(赤緯 > +30°)で達成し、未分光のまま残された北天の超高赤方偏移(*z* ~ 8-15)候補天体を[OIII]および[CII]輝線で分光同定しその星間物理を探る計画です。 +私たちのFINER計画では,[大型ミリ波望遠鏡LMT](http://lmtgtm.org/)と組み合わせることで北半球でアルマ望遠鏡に比肩する分光探査性能を実現する,120-350 GHz帯ヘテロダイン受信機FINERの開発を推進しています.ALMA2の鍵技術を活用するLMT-FINERは,アルマ望遠鏡に比して40%の集光面積,アルマと同等の標高(4,600 m)がもたらす大気透過率,アルマよりも5倍広い分光帯域をもたらします.これにより,アルマと同等の分光探査効率を,アルマではアクセスが困難な北天(赤緯 > +30°)で達成し,未分光のまま残された北天の超高赤方偏移(*z* ~ 8-15)候補天体を[OIII]および[CII]輝線で分光同定しその星間物理を探る計画です. -FINERプロジェクトは、2022年度から開始された -日本学術振興会科学研究費補助金・基盤研究(S)の支援を受け、 -2025年初頭にLMTに受信機システムを搭載する予定です。 +FINERプロジェクトは,2022年度から開始された +日本学術振興会 科学研究費補助金・基盤研究(S)の支援を受け, +2025年初頭にLMTに受信機システムを搭載する予定です. diff --git a/content/home/team.ja.md b/content/home/team.ja.md index 3804cd7..a2bf4f6 100644 --- a/content/home/team.ja.md +++ b/content/home/team.ja.md @@ -43,7 +43,7 @@ design: - 吉村 勇紀 (東京大学 大学院生) ## お問い合わせ -FINERプロジェクトにご興味のある方は、下記までお気軽にご連絡ください。 +FINERプロジェクトにご興味のある方は,下記までお気軽にご連絡ください. - 田村 陽一 - 名古屋大学大学院理学研究科 物理学教室 天体物理学研究室 - Eメール: `ytamura (at) nagoya-u.jp` (`(at)`を`@`に置き換えてください.) diff --git a/content/page/receiver/index.ja.md b/content/page/receiver/index.ja.md index 983c247..210cab5 100644 --- a/content/page/receiver/index.ja.md +++ b/content/page/receiver/index.ja.md @@ -13,7 +13,7 @@ draft: false ## FINER受信システムの仕様(2023年6月現在) | General | | |---|---| -| バンド数 | 2 (アルマ2のバンド4+5受信機、およびバンド6+7受信機に相当) | +| バンド数 | 2 (アルマ2のバンド4+5受信機,およびバンド6+7受信機に相当) | | 1バンドあたりのビーム数 | 1 | | 1バンドあたりの偏波数 | 2 | | 1バンドあたりのサイドバンド数 | 2 | diff --git a/content/page/science/index.ja.md b/content/page/science/index.ja.md index de4a418..a3a08ca 100644 --- a/content/page/science/index.ja.md +++ b/content/page/science/index.ja.md @@ -14,59 +14,59 @@ draft: false ### 研究の背景 - 銀河の形成と宇宙再電離 -宇宙で最初の銀河はいつどのように形成されたのでしょうか。 -この疑問は、現代の天文学における最も基本的な問題の一つに数えられます。 -初期宇宙の始原的な物質が冷えて中性水素になったのは、 -ビッグバンから38万年後(赤方偏移で言えば *z* ~ 1000)の頃です。 -しかし、最初の星や銀河が誕生すると、銀河間空間の水素ガスは、 -高温・大質量の星からの電離光子によってʻ再電離ʼされていきます。 -この「宇宙再電離」と呼ばれる現象は、最初の光り輝く天体が誕生したことを示す間接的な証拠となります。 +宇宙で最初の銀河はいつどのように形成されたのでしょうか. +この疑問は,現代の天文学における最も基本的な問題の一つに数えられます. +初期宇宙の始原的な物質が冷えて中性水素になったのは, +ビッグバンから38万年後(赤方偏移で言えば *z* ~ 1000)の頃です. +しかし,最初の星や銀河が誕生すると,銀河間空間の水素ガスは, +高温・大質量の星からの電離光子によってʻ再電離ʼされていきます. +この「宇宙再電離」と呼ばれる現象は,最初の光り輝く天体が誕生したことを示す間接的な証拠となります. -近年、宇宙マイクロ波背景放射観測衛星*Planck*が、 -赤方偏移 *z* = 7.8(ビッグバンから6億6000万年後、*Planck* Collaboration 2018)を -中心とする期間に宇宙再電離が起こったことを報告しました。 -その一方で、*Hubble*宇宙望遠鏡や*James Webb*宇宙望遠鏡の活躍により、 -それ以前にも数百もの銀河候補が確認されています。 -すなわち、人類はすでに宇宙で最も古い銀河の誕生を目撃しつつあることになります。 +近年,宇宙マイクロ波背景放射観測衛星*Planck*が, +赤方偏移 *z* = 7.8(ビッグバンから6億6000万年後,*Planck* Collaboration 2018)を +中心とする期間に宇宙再電離が起こったことを報告しました. +その一方で,*Hubble*宇宙望遠鏡や*James Webb*宇宙望遠鏡の活躍により, +それ以前にも数百もの銀河候補が確認されています. +すなわち,人類はすでに宇宙で最も古い銀河の誕生を目撃しつつあることになります. -とりわけ、この宇宙再電離の前期(以下では「前・宇宙再電離期」と記載) -に大質量銀河を見つけることは、非常に難しいと考えられています。 -なぜなら、「わずか」数億年で観測にかかるほどに大きく明るい銀河が出来上がらなければならないからです。 -そして、その出現確率(個数密度、あるいは「光度関数」)は宇宙構造形成モデルに依存します。 -したがって、こうした大質量の銀河が形成される確率を決め、その形成過程(銀河内部の星形成とその母体のガスの性質) -を理解することができれば、銀河形成の理解が格段に進むと期待されます。 -すなわち、この研究で私たちが解決しようとしている重要な疑問は、以下の3点に集約されます。 +とりわけ,この宇宙再電離の前期(以下では「前・宇宙再電離期」と記載) +に大質量銀河を見つけることは,非常に難しいと考えられています. +なぜなら,「わずか」数億年で観測にかかるほどに大きく明るい銀河が出来上がらなければならないからです. +そして,その出現確率(個数密度,あるいは「光度関数」)は宇宙構造形成モデルに依存します. +したがって,こうした大質量の銀河が形成される確率を決め,その形成過程(銀河内部の星形成とその母体のガスの性質) +を理解することができれば,銀河形成の理解が格段に進むと期待されます. +すなわち,この研究で私たちが解決しようとしている重要な疑問は,以下の3点に集約されます. - いつ大質量銀河が出現したか -- 大質量銀河がどれだけ多く存在するのか、 +- 大質量銀河がどれだけ多く存在するのか, - その成長をコントロールするものはなにか -しかし、この時代に大質量銀河の「候補」を同定することは簡単ではありません。 -一般に、銀河であることを同定し、その物理的性質を調べるには、 -原子や分子のスペクトル線の分光観測が重要です。 -しかし、最遠方の宇宙でさえも検出が可能な明るいスペクトル線、 -およびそれらを検出するための高感度な観測装置の組み合わせは、 -きわめて限られているのが現状です。 +しかし,この時代に大質量銀河の「候補」を同定することは簡単ではありません. +一般に,銀河であることを同定し,その物理的性質を調べるには, +原子や分子のスペクトル線の分光観測が重要です. +しかし,最遠方の宇宙でさえも検出が可能な明るいスペクトル線, +およびそれらを検出するための高感度な観測装置の組み合わせは, +きわめて限られているのが現状です. ### 研究のゴール -そこで本研究では、メキシコで稼働を始めた大型ミリ波望遠鏡(LMT)のための新しいミリ波・サブミリ波受信機FINERを開発し、 +そこで本研究では,メキシコで稼働を始めた大型ミリ波望遠鏡(LMT)のための新しいミリ波・サブミリ波受信機FINERを開発し, 近年その有用性に注目が集まる遠赤外線のスペクトル線(微細構造線) [OIII] 88μm と [CII] 158μm 輝線(Inoue et al. 2016) -を用いて、宇宙再電離前期の銀河の高感度分光観測を目指します。 -また、こうしたスペクトルをもとに、検出された銀河の物理的性質の解明も目指します。 +を用いて,宇宙再電離前期の銀河の高感度分光観測を目指します. +また,こうしたスペクトルをもとに,検出された銀河の物理的性質の解明も目指します. ### なぜ FINER が必要なのか -FINERは、ALMAと同等の感度を実現しながら、ALMAの5倍の同時分光帯域幅をもたらします。 -LMT-FINERは、ALMAの40%の集光面積、ALMAと同等の大気透過率、ALMAの5倍の帯域幅を実現します。 -これにより、北半球のミリ波・サブミリ波望遠鏡のなかで最も観測効率の高い輝線分光探査を可能にします。 +FINERは,ALMAと同等の感度を実現しながら,ALMAの5倍の同時分光帯域幅をもたらします. +LMT-FINERは,ALMAの40%の集光面積,ALMAと同等の大気透過率,ALMAの5倍の帯域幅を実現します. +これにより,北半球のミリ波・サブミリ波望遠鏡のなかで最も観測効率の高い輝線分光探査を可能にします. ## さらなる天文学・惑星科学へのインパクトも -さらに、FINERは、以下のさまざまな研究に利用が可能です。 +さらに,FINERは,以下のさまざまな研究に利用が可能です. - 太陽系内天体 -- 星間物質、アストロケミストリー(星間化学) +- 星間物質,アストロケミストリー(星間化学) - 星形成 - 近傍銀河の輝線分光撮像 - 遠方のサブミリ波銀河(爆発的星形成銀河)